親の介護はある日突然やってくる

20250626-main

皆様、こんにちは!
iyouコンサルオフィス広島の中岡です。

皆さんは、親の介護について親子で話し合いをされたことはありますか?
ほとんどの人が「親も元気だし、まだ大丈夫」と思っているのではないでしょうか…
介護の話をするのは、たしかに気が重いことです。
親の老いに向き合うことでもあり、将来の不安を感じさせる話題でもあります。

最近、私の周りでも、子育てもひと段落し、親の介護が始まったという人が何人かいます。
介護は年数も先の想像もほぼつく「子育て」と違い、ある日突然やってくるのが特徴です。
子育てと親の介護は「お世話をする」という共通な行動ですが、根本的な構造と感情の方向性がまったく異なります。

ということで、今日は「親の介護」について書いてみたいと思います。

親の介護が始まるということは自分の前を歩いていた人が歩けなくなり、自分より先に答えを出していた人が出せなくなるという、その人の後ろを歩いてきた私たち(子供)にとっても精神的にダメージの強い現実です。
その現実に向き合いたくなくて「考えたくないから今はいい」と、私たちはついつい“介護の現実”から目を背けがちです。

でも、介護は予告なしに始まります。
準備のないまま嵐の中に放り込まれることと同じことのように思います。

介護が必要になる期間は、平均で約5年
在宅での介護でも、月に5〜10万円ほどかかることが多く、要介護度が上がればその分費用も上がっていきます。
施設に入所すれば、月20万円以上が必要になるケースも珍しくありません
これらの費用を合計すると、介護全体でかかる費用は500万〜1,000万円以上になることになります。

「そんなにかかるの?」と驚く方もいるでしょう。
でもこれは現代の日本における、介護のリアルではないでしょうか。

そして問題なのは、こうした話が家族の中で共有されていないことが多い、という点です。
・誰が介護を担うのか?
・どこで介護をするのか(在宅?施設?)
・費用はどのように分担するのか?年金はどれだけもらっているのか?
・親自身はどんな介護を望んでいるのか?


これらは事前に話し合っておかないと、いざという時に家族の間でトラブルが起きる原因になります。
実際に私の周りでも親の介護で兄妹が喧嘩になった話や縁を切ることにまでなったという人もいました。
「兄(姉)は遠方に住んでいて何もしてくれない」「私はこんなに負担しているのに…」という不満や、「兄は長男で、これまで一番お金をかけてもらっているのだから親の介護は兄が一人ですればいい」など、介護を巡る衝突は、介護そのものより介護に関わらないといけない人達の人間関係のストレスを生みがちです。

このような事態を避けるためにも、私たちができることは親が元気なうちに、兄妹が仲が良いうちに家族全体で話し合うこと。ではないでしょうか。

たとえば、
「もし介護が必要になったら、どうしたい?」と親に聞いてみる
「介護保険って実際どれくらい補助が出るの?」と調べてみる
「兄妹で負担を分けるとしたら、どんな形がいいかな?」と相談する

このような小さな一歩が、将来の大きな安心につながります。

そして、介護は始まった瞬間から、時間・お金・体力・精神力を一気に消耗させる現実が、じわじわと生活を圧迫していくのです。
時には介護のために自分自身の職を失うことになる可能性も少なくありません。
そんなことになってしまっては自分の介護の費用まで子供に迷惑をかけることになりかねません。

そうならないためにも、親の希望を知り、介護にかかるお金の見通しを立てておくこと。
それは親への思いやりであり、自分自身の人生を守ることでもあります。
介護の話題は、避けるほどに難しくなります。
話し合っていたとしても想像以上のことがおこるのが介護です。
「まだ早い」と思わず、この機会に、是非一度家族で話し合う機会を作ってみてください。